WAKU JEWELRY Blog

和久譲治のジュエリーブログ

 

SILVERSMITHING・銀食器作りのテクニックとジュエリーメイキング

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190713135623j:plain

(1)チューリップ・ブローチ silver92 5;Petit Fiori 和久譲治

 

これからしばらく、私がロンドンで学び、ジュエリー&アクセサリーの金属成形に役立てている「silversmithing(銀食器作りの技法)」、「Forging(鍛金)」について、工具、テクニックの両面から書いていくことにします。

 

f:id:blogwakujewelry:20190713185313j:plain

(2)Forging(鍛金)用 オリジナルStake & anvil(金床・烏口)和久譲治

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190729110847j:plain

(3)「Forging(鍛金)」用Hammers;小型のボールはないので作りました。

 

「silversmithing(銀食器作りの技法)」の中心的な技法は、金属の一枚板から皿やボール、ポットを成形していく「Raising(絞り)」になります。板の厚さを変えずに、深い立体を作れる技法ですが、ジュエリー&アクセサリーの制作で用いることは少ないので説明は後にします。(写真(1)・(3)・バラやチューリップの膨らみの大きいところはRaising(絞り)しています)

まずは「Raising(絞り)」ほどの立体を伴はない「Forging(鍛金)」について、私の経験から大切なポイントに絞って説明していきます。

 

f:id:blogwakujewelry:20190713204857j:plain

(4)バラとチューリップ・ブローチsilver92 5;Petit Fiori設立以前、銀座専門店用として  和久譲治 

 

1995年頃、バラ好きの私は、毎日毎日バラの花びらを押し花にして、コピーし、修正して型紙を作り、銅板を切り、Stake & anvil(金床・烏口)を作り、金づちを成形しながらたたいていました。大小様々なバラの花びらが生れました。

 

f:id:blogwakujewelry:20190729100853j:plain

(5)1995年資料

 

f:id:blogwakujewelry:20190729100654j:plain

(6)Putite collierのバラブローチ

f:id:blogwakujewelry:20190923185528j:plain

 

「Petite fiori」,「Putite collier」にもこの頃に制作した「バラの花びら」が使われています。写真(7)は写真(6)の花びらの先端を成形するために作ったオリジナルStakeです。

 

f:id:blogwakujewelry:20190713185347j:plain

(7)バラ用オリジナルStake

 

さてここから「Forging(鍛金)」の重要なポイントを説明します。

しかし、金属製のStake & anvil(金床・烏口)と金属製のHammer(金槌)で「Forging(鍛金)」を始める前に、少しだけでも製品の厚みを失わないための下準備があります。

 木型と木槌、木型とHammer(金槌)、金属製型と木槌による、大まかな成形です。(よくなまして行います。)

 金属製型とHammer(金槌)はその形で完成品になるとき、軽く、軽く使用して、最終仕上げに使います。(Planishing)

それ以外写真(8)和久ノート(1)で示しているように、金属と金属の工具で加工品を挟むことは、加工品の厚みを失うため、絶対にしてはいけません。この大まかな成形の時でも、たたく裏側には、かならず空間があるようにセットします。また金属製の成形台のエッジが、製品を傷つけないように注意しなくてはいけません。

 

f:id:blogwakujewelry:20190807215456j:plain

(A)

 

f:id:blogwakujewelry:20190807215559j:plain

(B)

 

f:id:blogwakujewelry:20190807215653j:plain

(C)

 

f:id:blogwakujewelry:20190811152138j:plain 

(D)

 

そして、「Forging(鍛金)」にはいります。

「Forging(鍛金)」はHammer(金槌)とStake & anvil(金床・烏口)の作業になります。ですから仕上げ(Planishing)以外ではHammer(金槌)とStake & anvil(金床・烏口)で製品となる金属を挟むことはありません。写真(8)和久ノート(1)のように支えるポイントとたたくはポイントは少しずらします。図ではエルがずらす距離になります。たたいた時、製品となる金属の振動が大きくならないで、金属が変形する距離になります。「なまし」の状態、金属の厚さ、Hammer(金槌)とStake & anvil(金床・烏口)の大きさによってさまざまですが、だいたい1~2mmの距離にスイートポイントがあるはすです。

スイートポイントは見て確認することができません。ですから、音、指先に伝わってくる振動などで感じることになります。Hammer(金槌)でたたいた力が製品となる金属を変形させながら、反発することなく、その中にすべて吸収されるときには、製品となる金属は限りなく柔らかく感じるはずです。強くたたいてはいけません。指先に情報が伝わらなくなります。私はアトリエに籠もり、たたき続けて一か月くらいで、スイートポイントを理解したように感じました。

 

f:id:blogwakujewelry:20190730213252j:plain

(8)和久ノート

 

(2)は線材、板材を曲げるたたきです。ヤットコを使うと深い傷をつけてしまいます。また、ヤットコで曲げた曲線は、伸びやかできれいな曲線になりません。丸みのある金床に木槌を使います。

 (3は自動車のへこみを修理するのと同じような技術です。金属と金属の工具を使うため、深い傷をつけないように丸みのある金床(Stake)、Hammer(金槌)を使います。写真(3)のHammer(金槌)は場面に合わせて、すべて使用できます。金床(Stake)とHammer(金槌)の作品金属に触れる面積の少ない方に、押し出すような力が働きます。ですから同じ形状の工具でも大小が必要になります。Crimping用の(金槌)とStake (金床)で製品となる金属を挟むことがないように、スイートポイントを連続して感じることが大切になります。

そして(4)は「Crimping(ウエーブ作り)」を図解しています。「Crimping」は「Raising(日本の鍛金における絞りの技法です)」の一部です。

写真(8)の(4),Crimping用のStake (金床)でウエーブをつけます。外から中に向かって作業をします。写真(9)は大きいポットを作っています。ジュエリーやアクセサリー作りでは作業量が少ないこともあり、より金属に傷を付けたくないのす。そのため、Crimping用のStake、Hammerを木やプラスティックで作りました。試して下さい。

 

f:id:blogwakujewelry:20190922221031j:plain

 (9)CrimpingとRaising;METAL TECHNIQUES FOR CRAFTSMEN,Oppi Untracht

 

「METAL TECHNIQUES FOR CRAFTSMEN,Oppi Untracht」、この本は早稲田の後、(学)文化学園の旅行事業部にいた頃、ホノルルのアラモアナで出会い、ずっとロンドンにいくまで読み続けていました。Oppi Untrachtの本は「Jewelry Concept and Technology」も含めて、技術だけでなく民族文化や金属加工の歴史を広範囲に収録しています。後に、(学)文化服装学院・工芸課での講義内容が実技からデザインコンセプトと文化史に変化していったのは、Oppi Untrachtの影響があったのかもしれません。「形而下の文化史」もこの延長線上にあります。ぜひ一読ください。デザインコンセプトの基礎的な知識に触れているはずです。「和久譲治ジュエリーメイキングスクール」(参照)を長きにわたり続けてきました。そしていつも思っていたことです。「授業に出るたびに技術は得られます。ただ自身のデザインコンセプトがファッションや流行など表層の(情報)だけのことが多いのです。もっともっと人間の文化に興味を持って欲しいのです。」

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190923130231j:plain

(10)和久ノート

 

「Crimping(ウエーブ作り)」で作ったウエーブを、片方の頂点延長線上まで引き上げるために、「Raising(持ち上げ)」と呼ばれるわけです。Raising用のStake (金床)に二つの頂点を付けて、真ん中のウエーブをたたいていきます。写真 (9)で内側から円を描くように外にたたいているのが分かります。よく「なまし」て下さい。たたいた「ひずみ」が周辺の金属に吸収されなければいけません。「ひずみ」が吸収されずに、移動する場合は、「なまし」が足りないか、金属の厚みが足りていないかのどちらかです。そして常に打撃音の小さい変化に気を付けてください。「なまし」不足も分かりますし、Stake (金床)とHammerで金属を挟んで薄くする危険も避けられます。

 

 

f:id:blogwakujewelry:20150911150752j:plain

(11)<ONLY MI >ジャパンアートアクセサリー、和久譲治(プティフィオリ)オパールと紫貝のバラ

siver,オパール、紫貝

花びら(silversmithing)、洋彫り「紫貝(カメオ彫り)、蕾(フローレンタイン)、葉(レリーフ彫り)」

 

f:id:blogwakujewelry:20190925092349j:plain

 (12)CrimpingRaising用のHammer

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190713185439j:plain

 (13)Raising用のStake (金床)

 

 

f:id:blogwakujewelry:20170714220411j:plain

スパイダー蘭 和久譲治 ;欄の世界’92 読売新聞社(参照)

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190925092425j:plain

 

 

 

 

waku jewelrymaking クラウドメモ

 

  WAKU JEWERY MAKING CO.,LTD
ショップ&アトリエ オリジナルジュエリー ジュエリーメイキングスクール 形而下の文化史
オリジナルコスチュームジュエリー ワクジュエリーブログ
展示会 アンティーク&ビンテージ スクール紹介 VOGUE掲載記事
常設店 マップ 授業内容紹介 サイトマップ
 
ワク ジュエリー メイキング HOME >> VOGUE掲載記事
 

VOGUE掲載記事

 
VOGUE 2003, 12  

VOGUE 12, 2003 掲載記事

ヨーロッパの伝統的なテクニックを盛り込みながら。

 
さまざまなジュエリーブティックを訪ねたが、満足できなかったジュエリー好きが、最後にドアを叩くのが、ジュエリー・デザイナーの和久さんのブティックだ。古い時代から現代までの高度な技術を収得している、日本では貴重なジュエリー・デザイナー。デザインだけで、他のセッティング等は、他社の職人に外注するというデザイナーが多い中、彼は最初から最後まで、自分のアトリエで仕上げる。“メソポタミア時代から、ロココ、ヴィクトリア時代まで”のアンティーク・ジュエリーの難しいテクニックも取り入れながら、彼にしかできない繊細な細工を施し、表情豊かなジュエリーを作り上げる。通常のオーダーメイドでは、デザイン画の後、ワックスの試作品を一度作り、調整を行って完成というプロセスだが、彼の場合は、ヨーロッパの伝統的な技術でシルバーの試作品を作り、最低3度は細かく打ち合わせを行うという。だからこそ、オーダーした女性たちの満足度も高く、リピーターも多い。

Editor:Romiyo Hayashi

 
和久譲治●キャリア20年以上のベテラン・ジュエラー。アンティーク・ジュエリーに関する造詣も深く、宝飾史に関する講師としても人気が高い。
オーダーメイドで制作されたジュエリー。左下のパールのブローチは、ミキモトのパールのリングをリフォームしたもの。ローズカットのダイヤモンドや花モチーフなど、ロマンティックでデコラティブな作品が特徴的。
問い合わせ先●WAKU Jewelry Making 東京都渋谷区神宮前4-24-15 TEL.03-3478-6248 休日曜(月・火曜は要予約)

※新住所 :東京都渋谷区神宮前2-5-6 アマデウスハウス 209

 
 
VOGUE 2003, 11  

VOGUE 12, 2003 掲載記事

 

夢に残るはかない美しさ。

ファイナルステージで、セクシーに今夜の主役が現れた。涙のように流れるジュエリーのフォルムは、せつないリズムとともに儚い輝きを見せた。ネックレス ¥450,000(参考価格)/PETIT COLLIER(ワクジュエリーメイキング)

Hair:Adie Hannah at Michael john using Kanebo
Makeup:Nicole Jaritz at Loox Agency using M・A・C
Manicure:Nichola Joss at Premier for Creative Nails
Retouching:Actis Studios

Copyright (C) 2004 WAKU JEWELRY MAKING CO.,LTD. / Copyright (C) ADACHI PHOTOGRAFAR.

  

 

(有)ワクジュエリーメイキング(ワクジュエリー)は、日本のジュエリーメーカー、ジュエリー教室として平成元年、東京・渋谷・表参道に設立されました。
厳選された素材と、高度な技術で仕上げられるオリジナルジュエリーとコスチュームジュエリーブランド(Petite Collier;プティ コリエ)/ジュエリーブランド(Petit Fiori;プティ フィオリ)は、常に高い評価を受けています。
ジュエリー教室は贅沢な少人数制、高度な技術が学べることで評判です。
そのほか、他社のオリジナル商品開発や業務顧問、学校法人 文化服装学院での装飾文化史やジュエリー文化史に関する講義など幅広く活動しております。
ワクジュエリー(ワクジュエリーメイキング)は「ジュエリー文化の楽しみ方」を提案します。

代表取締役 和久譲治(ワク ジョウジ)

 

 

  

ジュエリーブランドPETIT FIORI 
           プティ  フィオリ 

オリジナルジュエリー&オリジナルアクセサリー
洋彫りと、貝花や宝石の色彩で作り上げる
日常使いのジュエリーブランド

ワクジュエリーメイキングのオリジナルジュエリーは、あらゆる素材のオリジナルカービング(彫刻)と、アンティークから現在まで世界で使用されている様々なスタイルのストーンセッティングテクニック(各種石留め技術)を特徴としています。
特に和久譲治がイギリス・ロンドンで学んだジュエリー技術とは、19世紀から20世紀前半に完成された、ヨーロッパ・アンティークジュエリーの高度な手作業を中心とする技術でした。
現在では有名ブランドのハイジュエリーのみで使用されるこれらの技術が、ワクジュエリーメイキングオリジナルジュエリーの基本となっています。
高度で精密な手作業でしか作り出せない繊細で完成度の高いジュエリーをぜひご覧下さい。
2009年2月、サロンで発表されるオリジナルジュエリーとは別に、同じ品質を持ちながら日常使い出来るジュエリーブランド/プティ フィオリを、デザイナー和久譲治、カラーアシスタント林陽子で立ち上げました。
どうぞよろしくお願いします

展示会ページ

※Engraving
Silversmithing
Metal Inlay
Filigree
Florentine Finish
Hammering
Bright Cut
Repoussé
Carving

 
プティ フィオリ 貝花リング
 
プティ フィオリ リング
 
プティフィオリ ペンダント
 
 
プティフィオリ ペンダント

アンティークジュエリー&
ビンテージコスチュームジュエリー

アンティークジュエリー&ビンテージコスチュームジュエリー

フランスアンティークジュエリーと
パリビンテージコスチュームジュエリー

ジュエリーメーカーであるワクジュエリーメイキングは、アンティークジュエリーやビンテージコスチュームジュエリーの買い付け方も少し変わっています。
まず世界の歴史や文化史、特にジュエリーの技術史の流れを詳しく調べ、気になる地域に足をはこびます。博物館や現地のコレクターフェア、アンティークショップをまわり、その地域の歴史的に特徴のあるアンティークを探すのです。
まことに非効率な買い付けですが多くの発見があります。
ワクジュエリーメイキングのアンティークに、ポルトガルやフランス、オーストリア、ハンガリーで作られたものが多いのは、この様な理由からです。
定例の展示会で、これらのアンティークジュエリーやビンテージコスチュームジュエリーも販売しております。リング、ブローチ、イヤリングなど豊富に取り揃えております。ぜひ、お気に入りの1点を見つけにいらして下さい。
次回のアンティーク&ヴィンテージフェアは2009年2月7日(土)です。詳細は展示会ページをご覧下さい。
E-Mail info@wakujewelry.jp

※ワクジュエリーメイキングでお買い上げ頂いた商品は、責任をもって修理、メンテナンスを致します。

 
エナメルクロス ペンダントヘッド
 
エカテリーナ リバイバル
 
19世紀アンティークジュエリー
 
カーネリアンカービング ネックレス
 
オベ・ダブルハート ブローチ
 
Copyright (C) 2004 WAKU JEWELRY MAKING CO.,LTD. / Copyright (C) ADACHI PHOTOGRAFAR.


 

オリジナル・コスチュームジュエリー

下の画像をクリックすると拡大表示でご覧になれます。
 

オリジナル・コスチュームジュエリーブランド/Petite Collier プティ コリエ

オリジナル・コスチュームジュエリーブランド/Petite Collier プティ コリエ

ビンテージアクセサリーの様な豊かな色彩と、ジュエリーのテクニックを使用した繊細な手作業。

ワクジュエリーメイキングのオリジナル・コスチュームジュエリー(オリジナルアクセサリー)は、ヨーロッパのジュエリーテクニックを、ファッションショーやポスター撮影用のアクセサリー製作に応用したのが始まりでした。

これは、パリ・オートクチュール時代のビジュ・ド・クチュールが、アンティークジュエリーとオートクチュールの融合から生まれていった事と同じような経緯をたどっています。

このことは後に、旧カネボウのビンテージアクセサリーブランド「リリ・エ・ダニエル」の業務顧問やメンテナンス業務を始めるにあたり、コンセプトメイキングやメンテナンステクニックにいかされました。

さらに、リリ・エ・ダニエルの仕事で、本当に沢山のパリ・コスチュームアクセサリーに触れることで、そのデザイン、素材、作り、テクニック、歴史や文化などのあらゆる知識が蓄積されてゆきました。

広範囲なマーケットに対応すべく、オリジナル・コスチュームジュエリーブランド「プティ コリエ」を、チーフデザイナー:林陽子、デザイナー:和久譲治で2008年9月よりスタート致しました。

「プティコリエ」は、美しい色合いと、ジュエリーのような作りの良さが特徴の、ビジュ・ド・クチュールを現代のファッションに合わせて進化させたコスチュームジュエリーブランドです。


     
     
     

 

 
 
 
プティコリエ ペンダント・ピアス
 
プティコリエ ミュゲ・ネックレス
 
プティコリエ ビザンツスタイル・ブローチ
 
プティコリエ ベルエポックペンダント
プティコリエ イヤリング・コレクション  

レナード・バーンスタイン(Leonard Bernatein)

 

 

f:id:blogwakujewelry:20190623115515j:plain

 

 まだクリムトの「ベートーヴェン・フリーズ」(参照)に魅せられています。ほとんど仕上がった金属原型(参照)製作は、レナード・バーンスタイン指揮のベートーヴェン「歓喜の歌」を聞きながらの作業です。フリードリッヒ・フォン・シラーの「歓喜に寄す」の概念をレナード・バーンスタインは本当に理解しているのでしょう、メロディーと概念と絵画が入りまじり、心に響きます。

「フリードリッヒ・フォン・シラー」、「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」、「グスタフ・クリムト」、そして「レナード・バーンスタイン」の流れ。

このうち「シラー」と「バーンスタイン」はユダヤ教徒です。

 曲が終わると、相棒はへルベルト・フォン・カラヤンのヨハンシュトラウス二世を大音量で響かせます。美しく、荘厳で、格調高く。

私の心地よい瞑想は、ドナウの流れのようなワルツとともに消え去りました。

私は好奇心や疑問で、頭をいっぱいにすることが好きです。

 私はレナード・バーンスタインのほうが好きだ! 田園風景の中、ユダヤ共同体の素朴な人々の姿が浮かぶ。

 

ロンドン留学中、ジュエリーメイキングを学ぶ、年の近いユダヤ人の友達がいました。よく話すようになった頃、彼は彼のお母さんが作る「ヨークシャープディング(Yorkshire・ pudding」を、食べに来ないかと誘ってくれました。エリザベス女王二世のシルバージュビリー(即位25周年・1978年6月2日)で休日の良く晴れた日、彼の住むロンドン郊外のまちに出かけました。車両の両側面がほとんどドアの通勤電車だったことも憶えています。

街に出ると、ほとんどの人は、山高帽に長いひげを蓄え、フロックコートの黒装束でした。ユダヤ人の居住区があることを、この時初めて知りました。

 白髪が混じり、少し外側にカールしたショートヘヤーの、ほっそりした彼のお母さんに迎えられ、さっそく三人での食事が始まります。家庭料理の ローストビーフとヨークシャープディングを、味わいながら静かにいただいた記憶があります。TVにはシルバージュビリーの映像が流れていましたが、だれもこのことに関しては言及しません。

 食事が終わり、お茶を飲みながらくつろいでいた時、私は浅い知識から、配慮のないことを言ってしましました。

 「Raid on Entebbeを見たけど、面白い映画だったよ。」

 実話である、イスラエル国防軍の「エンテベ空港奇襲作戦」をえがいたアメリカ映画(1976年、)で、国防軍兵士の英雄的活躍の話です。この映画以前に、第4代イスラエル国防軍参謀総長、第5代国防大臣の「片目のモーシェ・ダヤン」の活躍する「イスラエル建国」の映画も見ていました。平和ボケの日本人であった私は、恥ずかしいことに、「ユダヤ人=イスラエル」程度の知識しかなかったのです。

いつものように、彼は私の目を静かに、真正面から見つめ 言いました。

「僕は、戦争を娯楽にするのは好きではない。」

私は軽くうなずくだけで、なにも言えませんでした。共同体に暮らすユダヤ人でも各々が良く学び、よく考え、自分の意見をもっています。その時から私は大切なことを実行してきました。「自分の言葉を大切にすること。」、「一言でも自分が発した言葉には、全面的に責任を持つこと」です。そのせいで、融通利かないやつとして仕事をしてきました。日本では、軽口がコミュニケーションだと考えてる人さえ多くいました。

当時ロンドンで知り合い、友だちになった人は、静かに言葉を選んで話す人が多かったようです。話すことが楽しく、静かな喜びを感じたものです。言葉はその人の人格です。本を読むことも、その人を感じて会いたくなる人がいます。少し体力も回復してきました。静かにいろいろな文化を語り合える人に会いたくなりました。

 

 今、少しだけ解ってきました。「ユダヤ人」、「ユダヤ共同体」、「ユダヤ教」の言葉も、それぞれの地域性、歴史、概念があり、それぞれに派閥があり、決して安易な決めつけた観念を持つべきではないことです。

 

 

      

© 2019 JOJI WAKU Blog. All rights reserved.