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今日のアトリエ; ジュエリー & アクセサリーメイキング(1)

 

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作業台の上が混乱を極めた夕方、やっと新作の金属原型が仕上がりました。10月には銀座和光で販売されます。ジュエラーの私がなぜこんなにも究極のアクセサリーを作りたいのか。原型作りは、一作創るごとに命を削ります。でも面白いんです!ジュエリーメイキングは確かな知識と技術を正確に積み上げる作業です。一方オリジナルアクセサリーメイキングはパズルのように、持てるすべての知識、技術、美意識を「テーマ」に集約する作業なのです。発注元の企画者の考え、販売員の希望、販売店の顧客文化、時代の流行、それらを考えたデザイナーのイメージや色彩、スケッチ、これらすべての諸条件を立体に作っていきます。ちょっとした線一本の仕上げ方や0.1mmの違い、とりわけ「丸みと直線のバランス」が、優しさや贅沢さ、上品さや厳粛さなどを表現します。そして、関わったすべての人にとって、イメージ以上の完成品になるように。

こうしたスタイルでアクセサリーを作るのは、ロンドンから帰ってからの仕事のせいだと思います。長年間続いた、ファッションショーや撮影用アクセサリーの仕事では、多くのデザイナーやスタイリスト、雑誌編集者に出会いました。「貝」、「地中海のブルー」なんて文字で書かれたデザイン画から製作することも、何度か経験しました。変わったところでは、銀座(株)コージアトリエの渡辺弘二さんのオートクチュール・ショー用の依頼でした。依頼されたイメージは「観音菩薩」。若かった私はイメージが湧かなかったので、モデルを使った仮縫いの現場で、床に座り込み、一気にデザインを描きました。

 広島県福山市にある日本履物博物館の展示用レプリカ「ツタンカーメンの黄金のサンダル等」は現物の詳細な測量図面や写真から、当時の工具や技術を考え出しながら仕上げました。興味深かった仕事です。

「世界蘭展」の図録用作品を創ったときには、造形的なスパイダー蘭に感動して作品に選びました。アクセサリーにとって「造形」は骨格のようなもので、どんなに装飾的なデザインにも、しっかりした「造形」をベースに考えています。だから、作品的なアクセサリーには、装飾的なものを脱ぎ捨てた「造形」が表面に現れます。

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スパイダー蘭 和久譲治 ;欄の世界’92 読売新聞社

 

旧(株)鐘紡・リリー・エ・ダニエルのコンセプトメイキングはアンティーク・ジュエリーやヴィンテージ・アクセサリーの研究に没頭出来た、贅沢で、幸せな時間でした。(参照)

雑誌「vogue]のネックレスは、編集の方が「東京中を探しても物語風の記事用撮影に、イメージが合うものがない。」と困っておられ、イメージを聞き、僅か数日で完成させたものです。この時初めて、オリジナルアクセサリーに「プティコリエ」のブランド名を付けました。参照)

ア!忘れていた恥ずかしい思い出。森公美子さんが舞台で「タイタニック」を歌う時に着ける、「大きなサファイアのペンダントを頼まれて、映画を見に行きました。しかし、仕事を忘れ号泣し、失笑を買ったことがありました。サファイアは大きすぎて、ガラスの光沢に拘った私は、素材が見つけられず、モザイクの様にファセットを繋ぎ合わせました。大変でした。でも以後ガラスを自由に成型できる、簡単なテクニックを持つことになりました。アクセサリーメイキングのテクニックは作品の「テーマ」に合わせ、新しく考えます。これもアクセサリーメイキングの楽しいところです。

 懐かしく、楽しかった仕事の想い出が、次から次へと浮かんできます。

知識、技術、美意識を、好奇心を糧に磨き続けること。楽しいことです。

だから今も続けています。

 

ただ、今になって思います。ワクジュエリーメイキングスクール(ジュエリー教室)もいつまでも続けられません。こうした仕事をめざす人がもっと出て欲しい、作り上げた技術だけでなく、「考え方」を伝えたいのです。

 

 

 

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