WAKU JEWELRY Blog

和久譲治のジュエリーブログ

 

WAKUコレクション(12)

Penino

 

 

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1935年頃、Van Cleef &Arpelsなどのパリのジュエリー界では、サファイアやルビーなどの色石と、ピンクやイエローのゴールド鏡面を組み合わせたジュエリーが流行しました。「metal surface」と呼ばれたこのスタイルをアメリカの1940年頃・「Cocktail Party」時代にコスチュームジュエリーとして成功させた最も重要なブランドが「PENINO」です。華やかでボリュームがあり、完成度の高い技術で作られた作品は、まさにコレクターアイテムです。写真(2)で見られるテクニックについて話します。

 

WAKUコレクション(11)

 

Alun Roberts

 

 

 

 

第二次大戦前アメリカ人のMitchel Maerはロンドンに渡り、graverのHorace Attwoodとアクセサリーの会社Metalplasticsを始めました。戦後再び活動を始めた彼らは、高品質のアクセサリーを作りたいと考え、高いクオリティの金属原型を作れる技術を持ったジュエラーを探します。そしてAttwoodが見つけ出したのがAlun Robertsでした。

AttwoodとRobertsは一つのスタイルにたどり着きます。
ビザンツ風のバロック様式です。赤やグリーンの深い色調の大きめのペースト(ガラス石)をジュエリーと同じ石留にして、filigree(線状細工)と合せます。テーマはheartsやdolphonsなどが多く作られました。これらの商品は「Michel Maer」の名前で販売されています。

ところで、同じテーマで作られたこの作品は「Original by Robert」の刻印が付いています。そして写真でも解かるように、ジュエリーの石留を用いていますが鋳造のパーツが使われていません。センターの石枠や撚線は手作りされています。そのパーツにプレスの銅合金石枠を、全てロー付けで組み合わせています。「Michel Maer」の商品はRobertsが金属原型を作り、その鋳造のパーツにプレスの銅合金石枠をロー付けして仕上げているはずです。そのためにRobertsは呼ばれたのです。

「Original by Robert」刻印の作品は1940sに「Michel Maer」の高級ライン商品を作りながら、それでも飽き足らなかったジュエラーのRobertsが、すべてジュエリーの様な細工にこだわり、作り出した貴重なアクセサリーです。

AttwoodとRobertsが「Michel Maer」の高級ラインを考えるときに参考にしたのが、これまでに紹介してきた1930sの「Hove'」だったと思います。Robertsの他の作品を見るとよく解ります。「Hove'」の徹底した「ジュエラーの手作り」へのリスペクトが、Robertsに「Original by Robert」を作らせたのだと思います。

 

 

WAKUコレクション(10)

 

 

Hove'(3)

Holly Wood と契約したFine-jeweler.

 

hove'の作品をもう一つ、イヤリングです。これも初期の作品です。一つ一つの石枠まですべて、ジュエリー職人が手作りしています。hove'の作品には、19世紀初頭からの「フランスジュエリーの技術の歴史」が詰まっています。

 

 

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それにしても、阿部さんの国葬が近づいてきました。数年たって、歴史的評価が定まってからでも遅くはないのでは。今はまだ、黒に近いグレーの事柄が多く、今の日本の経済は如何なものでしょうか。

そしてロシアは国民の動員が始まります。高みの見物をしていたロシアの皆さん!

銃を取って前線に行きましょう。くれぐれもお体は大切にしてください。

私の早大での卒論はサルトルの「出口なし」です。自分自身が権力や宗教によって出口なしの窮地に追い込まれないように、自分の信じる「出口なし」を選び取りましょう。勇気をもって。

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