WAKU JEWELRY Blog

和久譲治のジュエリーブログ

 

和久コレクション(6)

 

アメジスト・水晶・ゴールド・シルバー ペンダント

18世紀から19世紀へーナポレオンの時代

 

非常に興味深い作品です。金と銀を貼り合わせたネックレス部分は、18世紀に作られ、ペンダント加工は、後に作られたようです。それぞれの時代の加工技術が見られます。

まず、よく見て頂きたいのは、宝石の石留技法です。写真(4)でよく分るように、「石を止める爪」のように見えるのは、「爪」ではありません。

 

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和久コレクション(5-2)

1600's中期以後スペイン・ポルトガルで流行した二つのスタイル  Cross(十字架)と B0w(リボン)そしてSemi esfericos setting(半球留)

 

 

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 Cross(十字架)& B0w(リボン) ブローチ 1600's中期 silver 水晶 (裏面)

 

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裏面を丁寧に彫り上げる作品は、ポルトガル、スペインで17世紀後半に現れます。17世紀前半はエナメル仕上げが流行していました。弧を描くように掘り、掘り始めは細く、終わりは太くなる線は、graverで彫った洋彫りの特徴です。彫の図案に、インドの影響が感じられます。大航海時代にインドからの多くの職人が、ポルトガル、スペインにやってきた記録があり、教会用の作品も、彼らによって彫り上げられます。表面の水晶のカットや石留技法、そしてリボンの形を考え合わせて、17世紀後半の作品だと読み取れます。

アンティークジュエリー求めて行ったポルトガル・リスボンへの旅は、ハプニング続きの忘れられない思い出です。コレクション(1)の「キリスト騎士修道会十字章」は老舗アンティークショップオーナーのコレクションでした。どうしてVIPしか招かれないオーナー室に行ってコレクションに出会えたのか、いつか書いてみたいと思います。

 

和久コレクション(5)

 

1600's中期以後スペイン・ポルトガルで流行した二つのスタイル Cross(十字架)と B0w(リボン)そしてSemi esfericos setting(半球留)

 

 

(2) B0w(リボン)and  Cross(十字架) silver 水晶

 

アンティークジュエリー探しは、本当に面白いことです。このジュエリーに出会ったのは、リスボンのショッピングモールに入っているアンティーク店でした。中年のマダムだけでやっているお店でした。本人が自分で買い付けに歩いている人で、面白い地方などのことも話してくれました。この小さなアンティークジュエリーのことは、比較的新しい17世紀風ブローチだと説明を受け、安く手に入れました。後でよく調べてびっくりしました。いくつもの発見があり、私のコレクション中、最古(1600’s後半初期)の物だと解りました。このアンティークジュエリーの秘密をひとつづつ説明します。

 

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このジュエリーに用いられている水晶のカットは、これまで見たことがありませんでした。(1)の写真を見てください。二つのオーバルの石のカットは左右で違っています。右の石は、テーブルからガードルの間(上部・クラウン)を、上下の▽、△でカットしています。一方、左の水晶は▽、◇、△にカットされています。そして写真(2)、確認できるパビリオン(下部)は△x4になっています。色々変化に富むカットの基本的な構成要素は写真(3,4)に見られるものでした。同じ基本的な構成要素を持つ歴史的なカットは、写真(3,4)になります。そして、その両方がルイ4世の時代を指し示しています。これは詳しく見ていかなければいけません。

 

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(1)側面の丸味は素朴ですがSemi esfericos setting(半球留)(参照)になっっています。

 

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(2)ポイントカット(Point Cut)(上下四角錘)の上が取れてテーブルカット(Table Cut)が生まれ、テーブルに△カットがされ始めた初期に当たる。マザランカット(Mazarin Cut)などがある。マザランカット(Mazarin Cut)は側面に▽x1だが、これは▽x2に変化している。

 

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(3)ムガルカット(Mughal Cut,インド)に由来するポートレートカット(Portrait Cut)

  写真はルイ14世が手に入れ、1668年にカットさせた有名なホープ・ダイヤモンド

 

16世紀までは、ダイヤモンドの産出も研磨も、インドのムガル帝国(Mughal Empire)が独占していました。16世紀にヨーロッパでダイヤモンドの研磨が始まります。その試行錯誤の様子が、このペンダントに使用されている水晶のカットにみられるのです。

 

 

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(4)マザランカット(Mazarin Cut)

 

ダイヤモンドの原石は六方晶系ですから、角砂糖のような形です。そのカットの歴史は写真(5)のように発展していきます。そして、四角形のテーブルカット(Table Cut)の側面に、さらにカットを加えることから、今日のブリリアントカット(Brilliant Cut)への道が開けていきました。写真(4)のマザランカット(Mazarin Cut)は、初期の一つの完成形です。このペンダントの四角石(写真2)は、マザランカット(Mazarin Cut)によく似ています。ちなみにMazarinとは、ルイ14世の教育係であった「Jules Mazarin 1602~1661」ことです。

 

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(4)マザランカット(Mazarin Cut)

 

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(5)

 

写真(1)楕円形石のカットは、非常に面白く、写真(6) (A)Portrait Cut になっています。マザランカット(Mazarin Cut)ではすでに、外側の△は縦に二分割されて、丸味に沿った多いファセット(facet、カット面)になっています。ヨーロッパにおけるダイヤモンド研磨の初期には、写真(3)のような、インドのムガルカット(Mughal Cut)を参考にしていたことが証明されます。Brilliant Cutのテーブル(上部の平らなファセット)などでは、四辺形の二分割で八角形なのですが、(A)の水晶は十角形にして、丸味に沿わせています。

ルイ14世がホープ・ダイヤモンドを手に入れて、加えたカットが、ムガルカット(Mughal Cut,インド)に由来するポートレートカット(Portrait Cut)であったことと、同時代性を感じます。

 

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(6) (A)Portrait Cut  (B)Prot-Brilliant Cut(Baroque-Brilliant Cut)和久ノート

 

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