1600年代後半・ガーネットペンダント
私のコレクションに共通する特色ですが、中でも歴史的・技術的に見て興味を惹かれる作品です。デザイン、宝石のカットは明確に1600年代のものです。以前にも紹介したルイ14世やマゼランの時代です。(参照)
宝石のカットはコレクション(5)より少し古いか、未熟なcutterの仕事です。
それにもましてブローチの裏面は、当時のスペイン、ポルトガルの作品とは大きく違っています。スペイン、ポルトガルの作品は、厚みのある金属の板を糸鋸で切り抜き、表から宝石を板に彫留めます。金属に宝石の穴を掘り、埋め込み、最後に裏表に飾彫りやエナメルを施します。
この作品は石枠、組み立て、すべて薄板と線材で立体に組み立てています。
古来、ローマ帝国崩壊後の線状細工が、ルネサンススタイルになりその技術がドイツに伝わったものです。日本の彫金技法と似ています。その後、スペイン、ポルトガルにインド由来の彫留めが発達します。(大航海時代)
つまり、当時スペイン、ポルトガルで流行していたデザインを、スペイン、ポルトガルと違う技法で作ったものです。金属の小花は白エナメルが施されていたと思います。当時スペイン、ポルトガルの作品にもエナメルが施されていましたが、この作品のエナメルはルネサンスのテイストを感じます。ドイツとポルトガルの融合にハプスブルグ家を考えてしまいます。
コレクション(5)と同じ年代のものです。見比べてください。
1600年代中葉・ガーネットペンダント


初期のtablet cutされたクオーツ(四角)

Portrait cutのガーネット

石枠は彫金と同じように、底が有るように作られているので、後ろのドームは飾りです。スペイン、ポルトガル、フランスなどの彫留め技法のスタイルを模した作りになっています。